HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.2 (1981/6[016])

<国内情報>
清水市興津地区に多発した急性肝炎の疫学的調査について


昭和55年春頃より静岡県清水市興津地区を中心に肝炎の発生が報告され,現在地元の保健所,医師会,病院,市,県衛生研究所および厚生省肝炎連絡協議会疫学研究班(班長:松下寛,浜松医大副学長)の共同により調査が進められている。未だ調査中であるが,その疫学的成績(昭和55年4月〜昭和56年3月)について報告する。

患者は清水市興津地区および小島地区に限局的に多発し,現在も引き続き発生しており,昭和56年3月まで両地区の患者数は142名(清水市全体の発生肝炎患者337名,人口比0.14%,興津地区126名,人口比0.87%,小島地区16名,人口比0.22%)で,5月から11月にかけて多発している。患者年齢層は30才から50才の働きざかりの壮年層を主とし,20才以下の発生はほとんどなく,男女の差異もみられなかった。なお少なくとも現時点では本流行が興津,小島地区以外に拡大している気配はみとめられていない。

昭和55年10月に興津,小島両地区住民の約5%を無作為に抽出し集団検診を行った。それによると,明らかな他の肝機能障害例を除外した969名(受診率は86%,年令階層はほぼそろっており,67名の患者を含む)についてGOT,GPT 等の肝機能検査を実施したところ,肝障害がみとめられたものおよびその疑いがあるものの計は265名(27.3%)であった。一方血清の免疫学的検査の結果,A型およびB型肝炎ウイルスの感染は否定された。以上の成績から本地区における肝機能障害は非A・非B型肝炎ウイルスによるものと推察している。

なお感染経路については飲料水の種類別利用状況,井戸水の水質検査等の環境調査を行ったが,経口感染の疑いは少なく,むしろ濃厚接触感染の可能性が示唆された。

以上流行の概要についてのべたが,本年度も引き続き調査中である。



静岡県衛生研究所 吉田英一





前へ 次へ
copyright
IASR