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Vol.2 (1981/9[019])

<外国情報>
腸管感染対策として食品取り扱い者にルチーンのスクリーニングを実施することは果たして必要か


カリフォルニア州の保健サービス部伝染病課では,無症状の食品取り扱い者に対して便の細菌・虫卵・寄生虫の試験をすることは果たして必要なのかという相談をうけることがしばしばである。

この州には移民,難民そして特殊な生活様式をもつ人達が多く,これらの人々を雇っている食品関係施設が少なくない。こうした人々は腸管病原体をもっており,そして個人衛生習慣においても遅れているので,公衆衛生に対する潜在的危険性が平均的以上であろうと推定される。しかしこの関心はいくつかの見地から,そして臨床,公衆衛生そして経費にもとづいて再検討されなければならない。カリフォルニア州の伝染病課では食品取り扱い者の腸管感染試験や結核,性病のルーチンの検査は経費に見合う程効果的ではなく,食品による伝播が示唆される場合以外は実施しなくてよいという立場をとっている。この立場は次のような事実から到達したものである。

1)結核や性病が食品によって媒介されることはあったとしても極めて稀である。

2)腸内病原体検査は試料の得られたその日の情報だけを提供するもので,病原体排出が間欠的である場合は感染の同定にはならない。

3)検査成績が陰性の場合は,安定性に関して誤った感覚を与えることになり,衛生管理にたるみを起こさせることになりかねない。

4)食品取り扱い者の年度回転率は30%と推定され,そのため試験やモニターリングの実施は経費がかかる。

5)食品取り扱い者の衛生教育,ことに衛生的な食品取り扱い法,個人衛生(手洗いなど)に力を入れる方がより効果的である。

カリフォルニア州においては,食品産業の従事者に対して,身体検査や検査室成績の提出を要求していない。それは各地区の条例や雇用者側の方針にまかされている。カリフォルニア州の衛生当局は,食品産業関係施設の衛生査察の制度プログラムとともに,衛生教育がルチーンの検査よりも食品由来疾病の予防に効果的であるとしている。

(CDC VPHN/Calif. Morbidity Weekly Rep. 1980. 47. 9)






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