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Vol.2 (1981/11[021])

<外国情報>
肝炎の免疫グロブリン(IG)による予防


肝炎に対する完全なワクチンが実用化されていない現在,IGによる予防は重要である。以下CDCのThe Immunization Practices Advisory Committee(ACIP)が奨賞しているやり方の要点をのべる。詳しくは原著を参照されたい。

A型肝炎:HAVに曝露したことが明らかな場合,0.02ml/kgのIGを筋注する。曝露前の予防,たとえばHAV浸淫地に2〜3ヵ月旅行する時,0.02ml/kg筋注一回,もっと長期に滞在する時は0.06ml/kgを5ヵ月ごとに筋注する。

B型肝炎:米国で通常の血漿から作られるIGはHBsAbがRIA法で1:100くらいである。これに対し,HBsAbの高い血漿を選んで作ったHBIGの抗体価はRIA法で>1:100,000であるから当然予防効果も高いと思われるが,高価であり,また,どこでも常に得られるとは限らない。

HBsAgを含む血液で外傷部(注射針で皮膚を傷つけた時など),または粘膜面を汚染された時にはただちに免疫グロブリン注射を受けた方がよい。この場合,A.原因の血液がわかっていてHBsAg陽性血ならHBIG(0.06ml/kg)を24時間以内にできるだけ早く注射し,同量を1ヵ月後に反復注射する。HBIGが得られない時は止むを得ずIGで同様に処置する。B.原因の血液がわかっているが,HBsAgの状況不明の時には2つの場合がある。(1)HBsAg陽性の可能性の高い場合(肝炎患者,ダウン症候患児,腎透析患者等),IG(0.06ml/kg)を即時に注射,相手のHBsAgをしらべ7日以内に陽性と判明したならばHBIG(0.06ml/kg)を即時に追加注射,1ヵ月後に反復する。陰性の場合は当然処置不要である。(2)相手が陽性者である可能性が低いときは何もしないか,IG(0.06ml/kg)を注射しておく。

HBsAg陽性(とくにHBeAg陽性)の母親から生まれた新生児に対しては出生後24時間以内にHBIG0.5mlを筋肉内注射する。

透析ユニットの医療従事者及び患者:日常的に受動免疫を行うことは推奨できない。その代わりに患者の血清学的スクリーニング,陽性者の隔離,環境衛生の改善などの感染防止手段を講ずべきである。どうしてもこれが成功しない時にはIG予防を考える。従来の研究によれば,この様な時HBIGを用いてもIGに優る効果が得られるという結果は示されてはいないので,IG(0.05〜0.07ml/kg)を4週ごとに患者及びスタッフに投与する。

NOA/NOB肝炎:A型肝炎に準ずる。

(MMWR,30,No.34,423−435,1981)






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