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Vol.3 (1982/5[027])

<外国情報>
食物を介したA型肝炎の流行―New Jersey州


 Monmouth郡において,月平均3−4例であった肺炎が,1981年6月の最初の3週間に56例発生した。検査の結果,A型肝炎と確定された。詳細な摂食調査で,潜伏期間中に56例中55例と98%があるメキシコ料理店で食事をしたことが判明した。年令,性,居住地をマッチさせた対照群では同時期にこの店で食事をしたのは10%だった。この店は自発的に営業を停止した。このメキシコ料理店関係の患者中,71%が男,68%が15−29歳,4例が15歳以下であった。この店の客で罹患しなかった健康者46例の対照との比較で,患者はnachos,jalapeno peppers,豆をより好んで食べていた。その店では2人の経営者を含め,10人の従業員全員が一度以上食物を取り扱っていた。その店で頻繁に食事をしていた1人の定員が6月18日の面接時に肝炎を罹患していた。他の店員の1人に5月9日肝炎らしい症状があった。彼は5月9日の全日働いていたが,その後具合が悪くなり働けなくなり,5月16日にA型肝炎と診断確定した。この店員は,チーズをすりおろす,レタスをちぎる,肉を切るなどの調理,皿への盛りつけ,客への給仕をしていた。以上の状況から,その店で6月5日から営業停止までの間に食事をした全員,計1430人に対し,6月19,20日に免疫グロブリンが投与された。

 MMWR編者註:過去数年間にCDCに対し毎年約1,000例の調理人のnon-B肝炎の報告があるが,食物を介したA型肝炎の流行は年平均4件しか報告がない。HAVの伝染は,調理人の排泄しているウイルス量,調理形態,衛生習慣に影響される。ウイルス排泄量は発症7−10日前にピークに達し,その後急速に減少するので,普通,調理人が発病前に調理した食物によって流行が起こる。通常煮たきする温度でHAVは不活化されるので,加熱しない食物由来の流行がもっとも多いが,加熱したあと冷めてから扱われたり,加熱しても内部まで熱が通らなかった場合は流行に関連している。もし,肝炎に罹患した調理人が手袋をしていなかった場合には,該当する期間に関連のある食品を食べた客に対する予防を考えたほうがよいだろう。日常発端者と接触のあった店員は,さらに感染源となりうるので,危険性の高い食品を扱うものはIGを与えられねばならない。肝臓酵素値やHAV抗体の上昇はウイルス排泄後に現れるので,スクリーニングはむずかしい。

(MMWR,Vol. 31,12,150,1982)






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