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Vol.3 (1982/5[027])

<外国情報>
ブタインフルエンザ型ウイルスの分離―ネバダ


 A/New Jersey/76と抗原的に類似したブタインフルエンザ型株が4才の女児から分離され,本ウイルスが依然として時々ヒトに感染をおこすことが示された。患者は前年12月に急性リンパ性白血病と診断され,化学療法が続けられていたもので,1982年1月29日にロサンゼルスに治療にきた時,白血病は寛解傾向にあった。2月6日に入院,本ウイルスを分離,広スペクトラムの抗生剤の投与にかかわらず肺炎が進行し14日に死亡,本ウイルス以外には感染性因子は検出されていない。患児が2月6日までに接触した2家庭14人にインタビューしたが,呼吸器疾患またはブタと接触の事実はなく,本ウイルスに対する抗体上昇,およびこれら地域での異常な呼吸器疾患等は認められていない。この冬CDCにこの例以外にはブタインフルエンザ型ウイルスの分離報告はない。

 MMWR編者註:この例は1974年の免疫低下患児の死亡例と同じである。子供・青年からはブタインフルエンザ型ウイルスの散発的分離例が毎年報告されるが,特に異常な症状はなく,いずれもブタから感染している。ヒト−ヒト感染例としては1976年,ニュージャージーの訓練キャンプで1〜2週流行した。

 今冬,多数のB型とA(H1N1)型が分離されているし,また,患児の接触者の多くは抗体調査から,明らかに本ウイルスに感受性であるにかかわらず発症していないことから,ブタインフルエンザ型株は流行をおこす傾向を示していないことが結論される。しかし,低レベルのブタ−ヒト,さらにヒト−ヒト感染がひき続き時々おこるものとみられる。

(MMWR,Vol. 31,15,195,1982)






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