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1981年の統計によると,英国(EnglandとWales)では10665例の食中毒とサルモネラ感染症が報告されている。これは1980年度の報告とほとんど同じである。S. typhimuriumの検査室情報が1977年以来上昇を続けているが,今年も7%ふえた。一方,S. hadarは減少傾向を維持した。他の血清型は約4%の減少で,結局は報告総数としては前年並となったC. perfringens,S. aureusの検査室報告数も前年度と似たようなものであった。
細菌性食中毒と関係のあった食品の種類については199例(33%)しか記録されていないが,サルモネラ症に関しては鳥肉が主で,136中84(62%)を占めていた。牛乳と関係のあったサルモネラ症の集団発生は16例である。Bacillus cereusによる6つの集発はすべて米飯を食した例であった。B. subtilisによる3つの集発は練り肉,あるいはパイサンドウィッチによるものであった。
サルモネラの血清型についてみるとS. typhimuriumが全分離株の35%を占め,S. hadarは1692から883(49%減)となり,S. enteritidisは816から1110に上昇,S. virchowは673から1000になった。前年度病院における感染原因として突如あらわれたS. albanyは,今年度は88症例となり,倍増した。
なお原因のつかめない食中毒の集発としては29例が報告されたが,222名の患者を出した9例においては,長い潜伏期(24〜48時間)をもって発生し,下痢,嘔吐,腹痛,熱を伴ない,2〜7日この症状は継続した。発病率は11〜70%(平均26%)であった。これらのうち3つの集発例は海産物食品が原因食に疑せられている。おそらくウイルス性のものであろう。一方,12時間以下の潜伏期の短いものとしては,8集発例があり,126名が罹患し,うち100名はひとつの集発に属している。微生物学的な証拠は得られなかったが,ハムや輸入チーズが原因食と推定された。中程度(12〜24時間)の潜伏期をもつ5つの集発例では81人が報告され,鳥肉やローストビーフが原因食と推定された。78名が罹患した他の集発については,情報は全く得られなかった。
(WHO,WER,57,47,363,1982)
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