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Vol.4 (1983/1[035])

<外国情報>
百日せきサーベイランス(英国:EnglandとWales)


 英国における現在の百日せき流行は,1957年に予防接種が定期化されて以来最大規模のもので,1982年度の第3四半期の報告数は,1957年春以後のいかなる四半期報告数をも上まわっている。年齢別にみると,1〜4歳発生数が1歳以下より多く,1970/1975と1976/1981との間で比較してみると,増加率は前者が4倍,後者が2.3倍となっている。

 生後翌年末までのワクチン接種率は,1964年度の70%から,ワクチンの副作用が社会問題化する1970年中葉までに70〜80%に上昇した。しかし,1978年には30%に低下した。DHSS連合委員会の調査の結果,ワクチン接種による重篤な副作用の危険性はごくわずかであり,ワクチン接種による大きな利益によって充分カバーされうるものであるという結論がでた。市民側の再認識,国の政策,そして1981/1982の大流行によってワクチン接種率は上昇しはじめ,1981年度は45%,1982年前半は50%になり,ワクチン出荷状況からみると接種率は今後さらに上昇しそうである。

 百日せき報告数や一般開業医での受診における最近の傾向は,百日せき菌の検査室情報をよく反映しており,現在の流行がまぎれもなく百日せきであることを示している。患者情報と検査室情報との間に多少時間のずれがあるが,これは他の気道感染の存在を示唆するものではなく,報告手続き上の時間差である。1〜4歳児に発生数が多いことは,1970年中葉からのワクチン接種率の低下によるものである。

 最近の2つの流行における病気の重篤度についてはあまり情報がないが,1歳以下の乳児の死亡率が低下したことは事実である。これは病気が軽くなったというよりは,看護の向上と関係があるものと思われる。

 ワクチン接種率の低下は,副作用に関する新聞,ラジオ,テレビのゆきすぎた報道によるもので,これによって接種計画がうけた打撃からの回復には数年を要するであろう。1982年には接種率は回復して,これは歓迎すべきであるが,目下の流行には影響を与えていない。3〜4年の周期でくる次の大流行をどの程度効果的に予防し得るかが期待されるのである。

(U.K., CDR 82/41,1982)






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