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Vol.4 (1983/3[037])

<特集>
風疹


 日本では風疹は従来から3年を1サイクルとするパターンで流行している。今期の流行は1981年に始まった。感染症サーベイランス情報の風疹患者の発生報告数は1982年春から夏に第2年次の大きなピークを示した(図1)。

 1982年の風疹ウイルス分離数は183であるが,患者のピークに一致して3〜7月に159(87%)が分離された。他の月では3〜5株がコンスタントに報告されている(表1)。

 厚生省流行予測事業において1982年秋に風疹抗体調査が実施された。現在までに集計された10県の成績(表2,3)によると,女子はワクチン接種の効果が顕著で,14〜19歳で男子に比べ抗体陰性率が著しく低くなっている。これを図2で1980年秋(今期流行前)の調査成績と比較した。この図では1980年の図をずらして,縦軸を一定集団にあわせてある。この図からわかることは,女子について,(1)13歳以下の年齢層の抗体陰性率の低下は81/82年の流行で風疹に感染したものによるとみられる。(2)14〜16歳ではワクチンを受けた年齢層が広がったことにより,抗体陰性率が著明に低下した。(3)17〜19歳では80年にすでにみられた低い陰性率(ワクチンの効果)をそのまま保っている。(4)20〜24歳の年齢層は80年同様,抗体陰性率が高い状態のまま残っている。

 本年当初より東北地方および他の一部の地方で患者発生数の増加がみられているが,まだ発生数は少なく,本年は全国的には前年より小規模の流行に終わるとみられる。しかし,風疹流行には地域差が大きく,また,男子にはワクチン接種がおこなわれていないので,地域によってかなりの流行があるであろう。妊婦年齢層にはまだ高率に感受性者が残されているから,妊娠前に抗体検査,ワクチン接種を行うなど,十分注意が必要である。



図1.風疹の患者発生状況(感染症サーベイランス情報)
図2.年齢別風疹抗体陰性率(感受性者率)(1982年流行予測事業速報)
表1.月別風疹ウイルス分離数
表2.1982年男女別年齢別ワクチン接種率と抗体陰性率(1982年流行予測事業速報)
表3.1982年県別年齢別抗体陰性率(女)(1982年流行予測事業速報)





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