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Vol.4 (1983/3[037])

<外国情報>
β-ラクタメイス産生リン菌(PPNG)のサーベイランス


 1976年にはじめてPPNG分離が発表されて以来,WHOは世界各国にこの株の分離についての情報提供を要請し,地球規模のひろがりをモニターするサーベイランス体制をつくった。

 PPNGはほとんど同時に東アジアと西アフリカとに発生した。西アフリカ発生のPPNGは,3.2メガダルトンのプラスミドをもち,一方,東アジアのPPNGは4.5メガダルトンのプラスミドをもっており,これはしばしばそれよりはるかに大きい伝達プラスミド(24.5メガダルトン)を伴っていた。後者のプラスミドは,耐性支配プラスミドの伝達を容易にするものと考えられている。

 1976年以後,これら2型のPPNGは世界のほとんど全地区にひろがった。西アフリカ株は,西ならびに中央アフリカとヨーロッパにかぎられていたが,アジア株はヨーロッパや西・中央アフリカをある程度含めて世界の他のほとんどの地区にひろがった。

 3.2メガダルトンのプラスミドをもつアフリカ株は,英国リバプールでの70例の発生を含め,はじめは局地的流行にとどまるendemicの型を英国,オランダでおこしていた。ところが,1980年後半になると,PPNG感染が急激に増加し,これはアフリカ株が固有の3.2メガダルトンのプラスミドに加えて,24.5メガダルトンのプラスミドを獲得した時期と一致するのである。

 ヨーロッパの11ヶ国の17の研究施設や保健当局から3177例のPPNGの分離報告が,1981年1月から1982年6月30日になされた。上位から症例数(国外感染例を含む)を列挙すると,オランダ1180(225),英国258(102),スウェーデン158(120),デンマーク104(60),ノルウェイ77(34),フィンランド54(29),スイス18(12),スペイン10,ベルギー6(6),西独1(1)となっている。

(WHO,WER,58,bQ,5,1983)






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