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セルカリア皮膚炎―1981年8月末,太平洋岸から10マイル入ったカリフォルニア州フンボルト郡のマッド河の入江で遊泳や徒渉をしたあと,皮膚炎を主訴として4名が診療を求めた。調査によって,さらに12名の同様の患者が発見され,セルカリア皮膚炎と診断された。14名の患者との問診の結果,全症例が8月29日と9月2日の間に暴露されていることがわかった。一番共通の症状は水と接触後30分以内におこったそう痒症である。その程度はさまざまであるが,2,3の患者では数日持続し,抗そう痒剤の投与をうけた。
これらの臨床報告にもとずいて,現地,ことに流れのゆるやかになっている沿岸100ヤードにわたって調査を実施,浅瀬でPhysa属の巻貝を認めた。それを郡保健部研究室にもちかえり,水を入れたシャーレの中にひたしたところ,巻貝からセルカリア(furcocercous cercaria)がでてくるのが観察された。当局は現地に警戒ポスターを出した。
Katayama症候群―1982年1月11日,1名の患者の診断に関して意見を求めてきた。患者は間欠的な発熱,咳,嗜眠性,筋肉痛,そしてエオジノフイリーがあった。1981年12月6日発症以来5週間症状がつづいていた。そして彼は発病1週前にエチオピアのオモ河でのいかだ遊びから帰ってきたところであった。調査の結果,同行の旅行者11名のうち5名が同様の症状をもち,4名は発熱とエオジノフイリア,1名は倦怠感とエオジノフイリアであった。発病日は12月6日から21日にわたっている。5名すべては12月中に診療を求め,マラリアや住血吸虫症をも疑って,さまざまな検査がなされたが診断がつかなかった。
Katayama症候群(急性住血吸虫症)をうたがわれ,1982年1月10日から2月10日にかけて,11名中10名の便,尿,血清標本がとられ検査をうけた。のこり1名の患者はスウェーデンにおいて1月初旬に同様の検査をうけた。Ritchie変法あるいはフォルモームエーテル法によって便から卵の濃縮を試み,有症状患者のすべてと,無症状者1名からSchistosoma mansoni卵が便1gあたり3〜15個の率で検出された。すべての卵陽性者の血清はIFAテスト陽性で,卵陰性者のすべては,IFAテスト陰性であった。Oxamniquine(30mg/kg)で患者を治療し,1ヶ月後には便陰性に転じた。これらの旅行者は旅行中,Schistosomiasisにかなり注意を払って行動しているが,この感染をうけたものである。
(WHO,WER,58,bQ,9,1983)
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