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1983年3〜8月に東南アジアおよびオセアニアで分離されたA(H1N1)ウイルスに抗原変異がみられる。A/Brazil/11/78(過去2〜3年の代表株A/England/333/80と同型)または同時流行の変異株A/India/6263/80のフェレット感染血清はHI試験で最近の分離株とわずかしか反応しない。ところが分離株は裏反応に差があり,A/Chile/1/83は他の株とわずかしか反応しないにかかわらず,この株の感染血清は広く他の株と反応する。シンガポール,タイの最近の分離株はこの型に属する。これと異なり,ニュージーランドとニューカレドニアの株の感染血清はホモに高く反応する。人における予備接種試験ではA/Brazil/11/78ワクチンはフェレット血清でみられるよりはよく分離株を阻止する抗体を産生している。
註:この抗原変異は小さいものでたとえばA(H3N2)のA/Bangkok/1/79とA/Bangkok/2/79における程度(アミノ酸2ヶのみ異なる)だろう。フェレット血清で抗原変異が認められるとはいえ,A/Brazil/11/78を含む今期ワクチンはこれら分離株に防御効果があるとみられる。
(CDC,MMWR,32,No.41,1983)
TABLE 1.Hemagglutination inhibition reactions of influenza A(H1N1) variant - March-August 1983.
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