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HBは西太平洋地域(WPRO)に広く分布し,ほとんどの国で住民の5〜15%がキャリアーである。1983年の第1次研究班についで第2次研究班会議が1984年8月仙台で開催された。会議の目的はHBVワクチンの製造と供給計画および診断試薬の現状と問題を明らかにし,コントロール計画を作成することであった。
WPROではプラズマ由来HBVワクチンが中国,日本,韓国で製造されている。また,中国,日本,シンガポ−ルは酵母を用いたリコンビナントワクチンの製造計画が進行中である。この方法による抗原蛋白はプラズマ経由ワクチンの蛋白と多少異なるために研究班は第2世代ワクチンについて製剤基準を独立に作成する必要を認めた。他の製法中現在最も見込みがあると考えられるのはtransformed chinese hamster ovary cellにおけるHBsAgの発現で,この抗原は生化学的に天然抗原と同一であり,大量に製造しうる。transformed cellで製造したワクチンが予想される癌原性物質を含まないことを確認するテストが開発されれば非常に安価なワクチンをこの技術によって製造しうる。
合成蛋白ワクチンおよびHBsAg遺伝子導入ワクシニアウイルスによるワクチンの利点,欠点が論議された。
さらに,中国,ホンコン,日本,韓国で実施された分娩時の感染阻止成績が報告された。生後3月以内にHBワクチンを投与し,6月までに2〜3回の追加投与を行うと感染は70〜75%低下した。さらに出生児HBIGの静注後,HBIG筋注およびワクチンの数回の追加接種が感染を90%以上まで低下させえた。
最も単純で効果的プログラムは,すべての新生児をHBVワクチン単独で免疫することであると思われるが,これについては,個々の国がワクチンおよびHBIGの入手事情に基づいて独自の方策をたてるのが望ましい。詳細な情報と十分量のワクチンの供給が近い将来可能であるとみこまれた。
研究班は第1次研究班の報告に関し,国内ウイルス肝炎研究機関の設立,コントロール計画の進展および適切なワクチン接種方策について追加した上でこれを承認した。また,研修コースの組織化と診断薬の開発および標準品の整備の必要性が強調された。
(WHO,WER,59,47,1984)
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