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Vol.6 (1985/3[061])

<外国情報>
1983年におけるヒトサルモネラ分離状況−米国


1983年CDCに報告されたチフス菌を含むサルモネラのヒト分離数は38,881であった。これは,1982年報告の37,683株の3.2%増である。CDCに報告されるサルモネラ分離株数は過去16年間,1968年の19,659株以来増加の一途であり,増加は一州あるいは一地域に限られていない。1982年以上に顕著な増加がみられたのは,メリーランド183%増加(442が1,251に)バーモント119%増加(73が160に),インディアナ105%増加(242が497に),ニューメキシコ37%増加(243が333に),ユタ34%増加(85が114に),オクラホマ33%増加(272が361に),アラバマ31%増加(561が743に),およびニューヨーク27%増加(2,300が2,916に)である。これらの増加数中どの程度が誤報であるかは不明である。

もっとも分離頻度が高い10菌型を表1に示した。S. heideldergは42%(1982年の2,641から1983年の3,746に),S.agonaは24%(1,125から1,396に)増加した。

分離頻度がいくらか低い血清型S.stanleyvilleでも1982年の1株から1983年は37株に増加し,これら分離株の57%はニューヨーク州から報告された。S.djujuは3株から24株に増加し,この増加の一因はアラバマ州のパーティーにおける集団発生である。S. tennesseeは59から136に増加し,イリノイ州とバージニア州から報告された。S. braenderupは212から324に増え,イリノイ州におこった集団発生による。S.havanaは71から114に増え,この増加の一因はノースカロライナ病院での集団発生である。S.dubinは126から182に増加,これら分離株の66%はカリフォルニア州から報告された。S.hadarは144から325に増加し,これらの40%はニュージャージー,ニューヨーク,ノースカロライナ,バージニア諸州からの報告である。

分離株の80%は年齢が記入され,サルモネラ分離比率は2ないし4ヶ月の乳児が最高で,幼児初期では激減し以後成人まで比較的一定である。20歳以下の男性ではやや高率で20歳ないし69歳の女性でもやや高率である。これは過去の年の報告と同じである。この16年間,分離株が得られた平均年齢は1968年の平均年齢6歳から1982,1983年の14歳と上昇した。

1983年にはS. typhi 525株が報告された。156は症例から,26は保菌者から,残りは症例か保菌者かの記載がなかった。保菌者の平均年齢は61歳,症例の平均年齢は25歳であった。

(CDC,MMWR,33,No.49,1984)



表1.ヒト分離頻度が高いサルモネラの上位10血清型





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