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Vol.6 (1985/3[061])

<外国情報>
家禽内蔵が原因のサルモネラ症――米国


 1982年11月と1983年10月,米国メイン州に調理の悪い家禽内臓(とりもつ)を原因とする食品由来の互いに関連のない2つのサルモネラ症集団発生が起こった。発生が起きた2つの料理店は50マイルの距離を隔てているが同一の料理店チェーンの一部であった。発生の報告は以下の通りである。

発生例1:1982年11月25日から27日にかけての感謝祭週末にこの料理店に行った人112症例に,Salmonella enteritidisが菌培養され同定された。発病に関わっている42の食品のうち5つ(七面鳥焼肉,料理長のドレッシング,内臓スープ,マッシュポテトおよびリンゴサイダー)を一変量解析法で区別することは不可能であった。(p=0.0001)。食品の由来をさらに分析すると内臓スープがもっとも強く関連していた(p<0.0001)。七面鳥料理に供された全品目が検索開始時までに使用済みだった。疾病発生後,食品を5個の塔Cヌ用泊ワから回収したが,七面鳥料理は混合されていて分別できなかった。それでも2個の袋から出した七面鳥はサルモネラ陽性で3個目の袋から出したマッシュポテトもそうだった。内臓スープ作製法を見直すと,22ないし24ポンドの七面鳥43羽から感謝祭の3日前に内臓を取り出し,料理前に36時間室温で融解した。感謝祭の前,ストック作製の時点でそれらを煮沸するよう指導を受けているというのだが、内蔵は冷凍された。しかしながら18人の食品取り扱い者すべてに一人一人質問してみると,誰一人内臓が煮られたことを認めたり,内臓が煮沸されていたことを思い出す人はいなかった。つまり,内臓は煮られずに肉挽き機にかけられ,濃厚化された熱いストック混合物に加えられたのである。挽かれた内臓を加えた後も濃厚な混合物はこげつかないようにと煮沸釜にはもどされなかった。その混合物は感謝祭の一日中室温でストーブの後のカウンター上に貯えられた。スープの残りは11月26日と27日に七面鳥特別料理に使用された。

発生例2:1983年10月17日,7人が第2の料理店で食事をした後発病したが,全員が菌培養でS. heidelberg陽性であった。後者の発生を一変量解析してみるとレバーペイストを食べたことが発病と関連していた(P=0.0003)。料理店が客の注意をうけて検索開始2日前にペイストを作ることを中止していたので,検査室で分析するペイストは残っていなかった。ペイストは10月15日に作られた。使用の4日前,冷凍鶏肝臓5ポンド容器4個が冷蔵庫で解凍されていた。20クォート容器でソテーにされ食品挽き器で破砕された。季節野菜と刻んだゆで卵を加えてから大型貯蔵鍋に入れ冷凍した。ペイストは10月16日から19日の間必要に応じて冷凍貯蔵容器から小壺に詰められサラダボールにのせて供された。

(CDC,MMWR,33,No.44,1984)






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