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Vol.7 (1986/4[074])

<外国情報>
1986/87流行期のインフルエンザワクチン−WHO


 1985年10月〜1986年2月の流行:日本および米国で広く流行したが,それ以外は局地的だった。各地ともA(H32)が最も多かったが,最近の米国の流行はB型で,B型の局地流行はアジアおよびヨーロッパでも報告された。A(H11)は散発例のみであった。

 抗原分析:A(H32)はA/フィリピン/2/82から変異した分離株が多く,主流は1985年7月ニュージーランドで得られたA/クリストチャーチ/4/85と85年初めの米国分離株A/ミシシッピー/1/85型である(表1)。

 A(H11)の分離は少数ですべてA/チリ/1/83型であった。

 B型の多くは明らかにB/USSR/100/83と差がある。代表株はB/アナーバー/1/86でこれは1985年末のB/ビクトリア/3/85,1985年初めのB/カナダ/3/85と類似している(表2)。

 血清調査:1985年の米国および英国の血清調査で,A/フィリピン/2/82(H32)の抗体は成人で60〜80%,しかし,新分離株では全年齢で低くなった。A/チリ/1/83(H11)に対する抗体は青年で60%,子供と老人はこれより低い。B/USSR/100/83抗体は青年で80%だが,新分離株ではほぼ40%にすぎず,子供,老人はさらに低い。

 不活化ワクチン:A/フィリピン/2/82(H32),A/チリ/1/83(H11),B/USSR/100/83の各10〜15μgHAを含む3価不活化ワクチンを1回投与した。A(H32)に対しては1:40以上のHI抗体保有率はワクチン株に対し投与前15%,投与後90〜100%,GMは1:15が1:150と上昇した。一方,分離株に対しては保有率は80%〜100%だが,GMが1/3であった。A(H11)株では投与後の保有率は90〜100%を示した。Bワクチン株に対してはほとんどが抗体応答を示したが,新分離株では20%しか抗体が検出されず,GMも非常に低く1:10程度であった。

 ワクチン用推奨株:

 A/クリストチャーチ/4/85(H32)−A/ミシシッピー/1/85類似抗原(前年と変更)

 A/チリ/1/83(H11)類似抗原(前年と同じ)

 B/アナーバー/1/86類似抗原(前年と変更)

南半球用ワクチン株の勧告は1986年10月の最後の金曜にWERに発表の予定

(WHO,WER,61,No.9,1986)



Table 1.Haemagglutination-inhibition cross-reactions of influenza A(H3N2) viruses
Table 2.Haemagglutination-inhibition cross-reactions of influenza B virus





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