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1985年10月6日から8日にかけてニューメキシコ州サンタ・フェにおいて代表者会議に出席した約1,000人中91人が7日10時〜12日24時に下痢症状を届け出た。試験した抗生物質すべてに感受性のS.heidelbergが出席者5人の糞便から分離され,3人が入院した。出席して罹患した人達は医療費11,000ドル以上を費やし,117日間仕事ができなかったと報告された。
ニューメキシコ州居住出席者76人の電話調査では,4回の食事中7日の朝食だけが有意に疾患と関連した(p<0.002)。後日郵便で朝食を食べた出席者約550人中回答を寄せた60%について有意に疾患と関連した食物は卵だけであった。罹患した91人すべてと健康であった206人中189人も卵を食べていた(p=0.01)。卵は朝食前日の夕方に冷蔵庫の縦長の2ガロンコンテナー中に割った後貯蔵され,朝,蒸気加熱釜でひとまとめに料理された。職員中罹患が疑われた3人は卵を食べており,また,食物を取り扱わなかったが卵を食べた2職員の糞便からS.heidelbergが分離された。
1960年代においてはサルモネラ症の集団発生の大部分は卵からおこっている。卵の調理過程と品質管理が改善されると共に卵に関連のある集団発生は1970年代には激減した。しかしこの発生例が示すように,卵が関連している疾患は依然公衆衛生的に重要である。病原体は卵の中で増殖するかもしれないし,大型コンテナーの中心部は冷却が不適切かも知れない。
1973年から1982年までの10年間に卵によるサルモネラ症集団発生が11回CDCの食品関係疾患サーベイランスシステムに報告され,307人の患者中45人(15%)が入院し,9人(3%)が死亡した。S.heidelbergは1982年に北米農務省に送付された家禽からの分離サルモネラの29%を占めていた。
(CDC,MMWR,35,No.6,1986)
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