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Vol.7 (1986/10[080])

<外国情報>
食中毒発生状況,1982年総括−米国


 1982年に656の食中毒発生(19,380症例)がCDCに報告された。報告が多かったのはニューヨーク州(323,ニューヨーク市160),ワシントン州(44),カリフォルニア州(35)の順であった。

 発生の34%(11,050例)で病原体が確認され,細菌性151発生(5,501例)中,もっとも多かったのはサルモネラ(55発生,2,056例),ついで黄色ブドウ球菌(28発生,669例)ウエルシュ菌(22発生,1,189例)であった。1982年中に新たにE.coli O157:H7の2発生が調査された。ともに同じチェーン店のハンバーガーが原因食で,疾患は血性下痢,腹部けいれん,微熱か平熱を特徴とし,またこの菌は無血性下痢と溶血性血尿症候群とも関連することがわかった。

 21発生(5,325例)でウイルス(A型肝炎およびノーウォークウイルス)が病因とされた。ミネソタにおける2つのノーウォーク胃腸炎について,3,000例に及ぶ一流行はパン製品と関連し,もう一つの2,000例の流行はキャベツサラダと関連した。化学物質によるものは47発生(220例)であった。寄生虫が原因とされたのはTrichinella spiralisに感染した1発生(4例)であった。1982年の食中毒による死者は26人で,V.cholerae O1が1,サルモネラ8,ボツリヌス中毒5,原因不明2であった。病原体が同定されなかった流行が436発生あった。

 潜伏期が報告された412発生について,潜伏期1時間以内が13,1〜7時間が123,8〜14時間が91,15時間以上が185であった。

 病原体が同定された220発生のうち,食品が特定されたのは168(78%)で,このうち肉またはバター製品が52%を占めた。化学物質では魚と貝が発生の57%の伝播仲介物だった。料理店の食物が44%,家庭が30%,発生は夏期に多かった。

(CDC,MMWR,35,No.1SS,7−10,1986)






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