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1985年9月22日,メイン州保健局は一日本料理店の常連客に胃腸疾患を認めた。客がまだ店にいる間に症状を呈したので,料理店は同日閉店した。約36人の客の中で最後に食事をした3組11人(31%)が病原検索に協力した。それ以外の症例は報告されなかった。全員が吐気と嘔吐を訴えた。9人は下痢,1人は頭痛,1人は腹部痙攣を訴えた。発病は店で食事をしてから30分から5時間(平均1時間23分)後であった。病気の持続時間は5時間から数日にわたり,2人は2週間後まだ下痢症状を呈した。2人が入院して輸液を要した。
すべての人が同じ品目を食べていたので,摂取食品と病気の関連の分析はできなかった。すなわち鶏肉スープ,エビフライ,焼きめし,ズッキーニ,たまねぎ,もやしの炒めもの,きゅうり,キャベツ,レタスのサラダ,ショウガドレッシング,火鉢で焼いたとりとステーキおよび茶である。5人は火鉢で焼いた帆立貝を,1人はメカジキを注文した。しかし,たいていの人はお互いのものを味見していた。
3人から採取した嘔吐試料1件と糞便試料2件からセレウス菌が大量に発育した。ステーキがセレウス菌培養陽性,焼きめし,野菜炒め,火鉢焼きのとりはセレウス菌陰性であった。
料理店主によると,肉は仕入れ後冷凍保存され,注文があるとさいの目か薄く切り,客の食卓の前で軽く焼く。しょうゆ,塩,白こしょう等調味料の客器は開けてから少なくとも2ヶ月間使用される。焼きめしは普通,一度炊いた飯が使われるが,これが冷蔵されていたか室温におかれていたかはわからなかった。
(CDC,MMWR,Vol.35,No.25,1986)
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