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Vol.7 (1986/10[080])

<外国情報>
10歳女児のネコによる牛痘感染−英国


 3月初め,皮膚科来診の女児に唇の病巣と顎下腺腫脹がみられた。患児は3週前唇に水痘様疱疹が出現し,2日後赤くなって痛み,中央が黒化し,さらに顎下腺の腫脹がみられた。コーチゾンとテトラサイクリン投与をしたが,患部は右上頸部まで拡大した。肝脾腫および全身症状はなかった。

 かさぶたの縁からの材料の直接電顕および細胞培養(HEp2,Vero,BmK,MRC5)48時間以内のCPEとこれの電顕でorthopox粒子を確認し,これはcowpoxと同定された。患者血清はorthopoxvirus抗体陽性。

 患児は発症直前に地方の家庭に滞在,牛,豚,羊,犬との接触はなかったが,親子の猫を入手し連れ帰った。子猫がorthopox抗体陽性(HAI128倍,NT200倍),子猫は顔に類似病巣があったが,すでに殺処分したため病巣からの分離はできなかった。患児の唇は4月半ばにはほとんど痕跡なく回復したが,顎下腺は5月半ばに吸出処置を要した。ネコによるcowpox伝播が最近注目されていて,これは2報目である。

(CDR,86/25)






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