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Vol.8 (1987/1[083])

<特集>
エコー7による無菌性髄膜炎 1986


日本では毎年夏を中心にエンテロウイルスの流行がみられ,1年ごとに異なる型が主流を占める。

 1986年は前年のエコー6にかわってエコー7が流行した。エコー7は1980年以降1985年までは年によって少数検出されていたが,1986年に急増した(表1)。1986年1月以降12月末までに分離が報告されたエコー7は917株で,報告はなお増加しつつある。エコー7が分離された例の臨床症状は発熱587,髄膜炎492,上気道炎316,胃腸炎170,発疹100などが主である。髄膜炎が53.7%に報告された。

1986年に髄膜炎患者から検出されたウイルスのこれまでの報告総数は777で,この内訳はエコー7が63%と多数を占めた。これ以外ではエコー30,CA9,ムンプスなどが報告されているが(図2),エコー30はすべて福島県からの報告である。

 エコー7の分離のピークは7月(図3)で,感染症サーベイランス情報における無菌性髄膜炎患者の発生状況(図1)と一致する。

 髄膜炎患者からのエコー7検出状況を地域別にみると,福島から大分まで22都府県5市から広範に報告されており,特に岐阜県,愛知県,名古屋市の3地区では合計46%と報告が多いのがめだった(図5)。

 エコー7の検出された髄膜炎患者の年齢分布は0歳と5歳にピークがあり,0〜4歳が50%,5〜9歳が43%を占める(図4)。特に0歳児76例中月齢が0〜1ヶ月のものが42例と多いのがめだつが,うち30例はサーベイランス定点の患者からの分離報告であり,報告機関による集積性はみとめられていない。

エコー7はすべて細胞培養で検出されている。エコー7報告が分離された髄膜炎患者492例中,327例は便,256例は鼻咽喉材料,238例は髄液からウイルスが検出された。

なお,各地のエコー7流行状況について,関連報告が 本号 に掲載されている。



図1.無菌性髄膜炎患者発生状況(感染症サーベイランス情報)
表1.年次別エコー7検出数
図2.無菌性髄膜炎患者からのウイルス検出状況(1986年)
図3.無菌性髄膜炎患者からの月別ウイルス検出状況(1986年)
図4.無菌性髄膜炎患者からの年齢別ウイルス検出状況(1986年)
図5.無菌性髄膜炎患者からのエコー7検出状況,住所地(都道府県)別 1986年





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