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ブラジル紫斑熱(Brazilian Purpuric Fever)は,H. aegyptiusによる化膿性結膜炎 にひきつづいて起こる急激な発熱,嘔吐および腹痛を特徴とし,未処置だと紫斑,血管萎縮など内毒素症とショックで死に至る。臨床症状は髄膜炎菌血症に似ている。
最初の報告は,1984年末ブラジル,サンパウロ州におけるもので,患児の皮膚からH. aegyptius生物型Vが分離された。この菌はこの地域で化膿性結膜炎の子供から最も普通に分離される。その後同様の例が1984年に集発17例,1985年初め散発12例,1986年2月集中して8例,いずれもサンパウロ州で認められた。さらに1986年3月の集発で詳細な調査がなされた。10人の20ヶ月〜6歳の子供の血液または髄液から菌が培養された。ただし,髄膜炎はないので髄液の2例は血液からの混入とみられた。全例が発熱,5例のみ点状出血および/または紫斑病があり,4名死亡。9例に結膜炎歴があった。1986年3〜6月にサンパウロ州でこれ以外に4例の発症があった。
局所的抗生物質投与は無効だが,全身的投与(アンピシリンおよび/またはクロラムフェニコール)は出血斑の進行を阻止し,致死率をさげる。本症がブラジル以外で発生しているかどうか不明。
(CDC,MMWR,Vol.35,35,1986)
予研 和気,宮村
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