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1986年3月24〜26日に開催されたオルソポックス委員会の確認と提案は次の通りである。
世界中でルチーンおよび旅行者の種痘は中止されている。軍隊で種痘をしている国に対しては中止を勧告する。WHOの種痘中止勧告は天然痘以外の疾病の免疫のためにベクターとして用いられるワクチニアウイルスに対しては適用しない。
最後の天然痘患者以降約10年が経過したので,WHOがワクチンの保管を続ける必要はないだろう。2研究室(CDC,アトランタとRIVP,モスクワ)だけが天然痘ウイルスのストックをもっている。ウイルス遺伝子プールが将来のウイルス研究のためにすでにクローニングされた。委員会見解はDNAクローニングが終了すれば生きたウイルスを保管する必要はなく,ストックは死滅させるべきであると勧告している。
1985年中にザイールで55例のヒト・サル痘例が報告された。約5百万人のサーベイランスでは,ヒト・サル痘の発生率はきわめて低く,ヒト−ヒト伝播はしないという見解がかたまりつつある。
最後の天然痘は1977年10月にソマリアで発生,1978年英国で実験室例が2例あった。委員会は,最終例から10年という経過年数が,自然発生天然痘の撲滅に対する完全な保証として,十分な期間であると考えている。
(CDC,MMWR,Vol.35,42,1986,WHO,WER,61,38,1986)
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