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Vol.8 (1987/1[083])

<外国情報>
大腸菌O157:H7と関連した血栓性血小板減少性紫斑病−米国ワシントン州


 大腸菌O157:H7と関連した出血性尿毒症症候群(HUS)例が小児や成人で記載されている。血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)はHUSと臨床および病理に類似点が多いが,今まで胃腸合併症の報告はみられなかった。

 1986年2月シアトルで,53歳の婦人が1週間の血便および後半の血尿の後,重症の神経障害,微小血管異常溶血性貧血,血小板減少症および腎不全で入院し,48時間後に死亡した。剖見所見では腎臓,下垂体,心筋など多くの臓器にフィブリンの微小血栓があった。死因は天幕切痕脱出(Transtentorial herniation)とみられた。入院当日採取された直腸スワブから大腸菌O157:H7が分離された。感染経路は不明。

 HUSでは1種類以上のverotoxinが関与しているとみられるが,メカニズムはわからない。TTPの原因としては薬剤,毒素,感染,免疫異常,妊娠などがあげられている。本例はHUSとの共通性をさらにつけ加えた。出血症状のないこの菌の感染がHUSまたはTTPと関連するかどうかは不明である。

(CDC,MMWR,Vol.35,34,1986)






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