HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.8 (1987/3[085])

<外国情報>
家族内のB型肝炎−英国


1986年5月,17歳の白人女性が産前検診でHBeAg(+)であることがわかった。この地区では18ヶ月にわたるHB流行があったため,新しい陽性者の追跡を行っている。患者とそのボーイフレンドは麻薬常用を否定したが,5ヶ月前,患者の甥がクリスマスプレゼントにもらった顕微鏡で観察するために家族や友人から同一針で採血したことがわかったので,家族の抗体検査が実施された。

患者の51歳の母親がHBsAg(+)およびHBeAb(+)であった。姉とその4人の子供のうち3人はHBsAb(+)で過去の感染を示した。このうちの1人およびボーイフレンドは抗HBcIgM(±)でこれは過去3〜6ヶ月にHB感染がおこったことを示している。(−)の末子(4歳)にはHBワクチンが接種された。近くに住む患者の兄はHBsAg(+),HBeAb(+)。同居するガールフレンドとその3人の子供はHBsAg(−)。患者の別の姉がHBeAb(+)であったことが検査記録調査でわかった。

10月に患者は健康な女児を出産,新生児は国のサーベイランスのプロトコールにしたがい,免疫グロブリンとHBワクチンが投与された。

 本例は51歳の母親が長期間HBsAg(+)の間に,多分周産期に少なくとも4人の子供に感染させたのだろう。3人の子供は彼らの母親(検査時にはHBsAg(−)だが)から感染したとみられるが,1人(5歳)が抗HBcIgM(±)であることから,クリスマスに注射針経由で感染したことも疑われる。

(CDR,87/04,1987)






前へ 次へ
copyright
IASR