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1986/87シーズンは世界各地でほとんどA(H1N1)のみが分離された。この株による前回の流行と同様,主に子供と青年層に流行した。抗原的にはすべてA/シンガポール/6/86と同型だった。B型の分離はきわめて少数で,B/アナーバー/1/86類似株だった。
A(H3N2)の分離も少数であるが,最近A/ストックホルム/8/85またはA/レニングラード/360/86型ウイルスが分離されている。A/ミシシッピ/1/85型を含むワクチンを接種した者は最近の分離株A/レニングラード/360/86に対しワクチン株と比べて平均抗体価が2〜3倍低い。新分離株はA/バンコク/1/79(1980/81〜1984/85ワクチン株)およびA/ミシシッピ/1/85(1985/86ワクチン株)に対する抗血清で阻止されにくいが,抗新分離株血清は上記ワクチン株とよく反応する(表)。最近A(H3N2)ウイルスの分離は少数ではあるが,この型が分離され続けているので,A(H3N2)型の次季ワクチン株としては,この最近の分離株を推薦することとした。
推奨株
A/シンガポール/6/86(H1N1)類似抗原
A/レニングラード/360/86(H3N2)類似抗原
B/アナーバー/1/86類似抗原
(WHO,WER,62,bX&13,1987)
Table 1.Haemagglutination-inhibition reactions of influenza A(H3N2) viruses
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