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1986年の腸チフス,パラチフス患者の届出総数は658例(死亡2例),356が検査され,そのうち200が血液の培養によって確定された;S. typhi 173,S. paratyphi A 12,S. paratyphi B 15であった。
全届出例の状況が確認例の場合と同一とみなせば,フランスにおける86年の患者数は約400と算定される性別に差はなく,若い方が主で43%は15歳以下であった。適切にワクチン接種を受けた者は3例のみだった。
136例(68%)がエンデミック地域訪問後の発生で,マグレブ地方が多く,このうち58例はモロッコから輸入された。75%以上が8〜10月に発生。輸入例では15歳以下(48%)が国内発生(40%)にくらべて多く,また50歳以上は国内の20%に対し輸入例では3%であった。親族・仲間内の発生を伴った25例中20例は輸入例,多くは兄弟だった。
なぜ,モロッコからの輸入が多いか?主なエンデミック地域のうちモロッコはフランス人が最も多く訪れる国であり,またモロッコ人はアルジェリアおよびポルトガル人に次いでフランスで3番目に多い移民人口である(1982年は431,120人)。モロッコ人は他のマグレブ人より生活水準が高いので,母国において家族休暇をとる習慣がある。
(WHO,WER,62,14,1987)
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