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1985年1月,1老人ホーム入居者34/42(80%)とスタッフ13/29(44%)が,下痢,嘔吐,腹痛を主徴とする48時間病にかかった。細菌は陰性,電顕で2種類のウイルスがみられた。発生は2峰性で,間の6日は発生がなかった。前半の8日間の材料4/8にカリシウイルスが,後半の8日間の材料2/3にアストロウイルスT型がみられた。34患者中4人が発症を繰り返し,両ウイルスに感染したとみられる。
ホームは新入者,訪問者,入居者の移動を制限し,患者を建物の一部に集めたが,蔓延防止効果はなかった。最終発生は初発の22日後で,その10日後にホームは再開された。
食物,水について細菌は陰性だったがウイルス検査はなされなかった。調理場は地域の食事サービスにも使用されるのにホーム外の患者発生はない。最初の3患者中2人はスタッフで,多分潜伏期中の患者と接触したとみられ,しかもスタッフは流行期間中罹患し続け,人手不足のため病中でも働いた。大部分個室だが,食堂,ロビー,トイレ,バスは共用。スタッフの子供は自由に来て食事を手伝い,時々訪問者も手伝った。スタッフの子供2人がホームでは発生のなかった10および11日目に発症したが,材料が採られなかったので,どちらのウイルス感染か不明。老人のアストロウイルス流行報告は今までに1例しかなく,知る限りではカリシウイルスと両方が関係した報告例はない。
(CDR,87/16,1987)
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