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1987年6月8日,生後4ヵ月の男児が呼吸困難を呈した(本情報第8巻既報)。入院後6週に退院したが,10週後もなお軽度の脱力状態が残った。6月15日に採取された便材料中にC. botulinum type F毒素が検出され,同時に菌が分離された。その後の追跡検査で便材料,血清に毒素は検出されなかった。
英国において本例は2例目である。第1例は9年前,A型ボツリヌス菌が原因であった。F型菌の前例は米国の1例のみだが,これは後にC. baratiであることがわかったものである。多くの乳児ボツリヌス症はミルク以外を摂取しはじめた2〜3週以内におこり,6ヵ月後ではまれである。米国では乳児突然死の原因の一部と考えられている。本例ではポリオ3型ウイルスが分離されたが,背髄液所見が正常であり,発熱がなく麻痺が対称的で回復が速かったことからポリオは除外された。ギランバレー症候群は年齢的および感覚神経麻痺のないことから除外された。
(CDR,87/38,1987)
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