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本報は英国RSサーベイランスの第4,5年(1984年8月〜1986年7月)の報告と第6年の前半8ヵ月(1986年8月〜1987年3月)の速報である。
1981年〜87年のRS確定数は年間38〜81例で,届出られたもののうち年間8〜13例が調査の結果除外例とされた。診断変更の主な理由は先天性代謝異常である。年齢中間値は16.5ヵ月(3週〜14歳),季節性は明確でない。1984/85および1985/86年の報告患者52および37例中,それぞれ死亡例は50と54%,神経系後遺症は13と24%,正常治癒は37%と22%であった。前駆疾患が明確に報告された87例中,上気道疾患47%,胃腸炎19%,水痘6%,種々の熱性疾患17%,症状がなかった者13%であった。
ウイルス学的に確認されたのは検査数41例中9例で,内訳はインフルエンザB型2例,インフルエンザA型4例,パラインフルエンザ3型1例,アデノ5型1例,ムンプス1例。
解熱剤投与歴が報告された1984/85年の34例について16例がアスピリン,3例がパラセタモル,1985/86年については28中18例がアスピリン,1例が歯治療用サリチル酸塩,2例がパラセタモルだった。RSとパラセタモルの関連は報告がない。RSは熱性疾患の後におこるから,アスピリン使用が中止されれば必然的に他の解熱剤の割合がふえるだろう。
米国の集計との違いは,英国ではインフルエンザや水痘との関連がみられないこと,および患者の中間年齢が低いことで,英国では先天性代謝異常をみすごしているのかもしれない。
(CDR,87/33,1987)
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