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Vol.9 (1988/8[102])

<国内情報>
クジラ肉を原因食品とするサルモネラの食中毒事例


 昭和63年5月,札幌市を中心にクジラ肉を原因食品とするサルモネラの食中毒が発生したのでその概要を報告する。

 札幌市内で,5月2日に刺身用として販売されたクジラ肉を喫食し,食中毒症状を呈している患者が多数いるとの届出が,5月3日市内の病院から保健所へあった。

 調査によると,このクジラ肉は,4月30日道南の松前沖で死亡漂流していたクジラ由来のものと判り,また,5月1日産地の松前町ですでにクジラ肉喫食による発症者がいたことが明らかとなった。

 札幌市内では,5月3日から患者発生の届出が相次ぎ,最終的な札幌市内患者数は322名,入院したものは102名となった。主症状は下痢,発熱(38〜40℃),腹痛であり,また,潜伏期間の平均はおおむね14時間であった。

 札幌市衛生研究所において食中毒起因菌の究明を行った結果,患者便68検体から55株,クジラ肉10検体から10株のSalmonella enteritidisを検出した。

なお,これら検出したすべての菌株について,国立予防衛生研究所にファージ型別検査を依頼した結果,全菌株とも溶菌パターンが3/5/7/19/23/26/27/28/29/31/34/37/39/40/41/43/46/47で一致した。



札幌市衛生研究所 大森 茂 小林 毅





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