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Vol.9 (1988/12[106])

<国内情報>
最近の輸入デング症例


1985年3月から1988年8月にかけて,東京,埼玉,茨城1都2県の9病院からデング熱の疑いのある患者28例の血清について検査依頼を受け,デング2型を抗原としてHI試験により,血清診断を行った。そのうち7例は急性期から抗体価の上昇がみられ,回復期血清で640倍から10,240倍に達した。また,回復期血清のみの4例は640倍から5,120倍の抗体価がみられた。これら全例とも日本脳炎ウイルスに対する著しい抗体価の上昇がみられた。回復期血清のみの1例ではデングの抗体価は320倍を示し,日本脳炎の抗体価は80倍と低価であった。これら12例の症例はいずれもデング熱と診断された。

1例は発症後の抗体価は80倍から320倍の間をあまり変動せず長期維持したこと,3年前にデング常在地で発熱の既往があることから,デング熱の既往と診断された。1例は急性期から回復期にかけて明らかな抗体上昇はみられたが,約1ヵ月の間80倍を維持しており,デングが疑われたが,確定には至らなかった。1例は回復期血清160倍と低く,デングの判定には至らなかった。

以上の結果から,明らかな輸入デング症例は12例,デング既往1例,デングの疑い2例であった。これら患者の国籍は,日本11名,台湾2名(うち1名は日本人),フランス,アメリカ各1名。旅行先はタイ,カンボジア,フィリピン,インド,ネパール,バングラディシュ,ビルマ,スマトラ,インドネシア,台湾の各地であった。



国立予防衛生研究所 矢部貞雄 北野忠彦








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