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Vol.9 (1988/12[106])

<国内情報>
夏かぜ様疾患患者からのアデノウイルス35型の分離例


結核・感染症サーベイランス事業では初めてのアデノウイルス35型を,京都市内の夏かぜ様疾患患者から分離したので,その概略を報告する。

患者は京都市山科区に在住する7歳男子で,臨床診断名は夏かぜ様疾患,臨床症状として発熱(38.3℃),上気道炎があった。この患者の発病当日(9月20日)の鼻咽頭ぬぐい液を用いてウイルス分離を行った。当研究所では通常,ウイルス分離にFL,RD−18S,HEK,Veroおよび哺乳マウスを用いているが,今回,FLでのみ分離された。FL上のCPEは初代から現れ,3代継代後,典型的なアデノのCPEを示した。

中和試験,CF試験および種々の理化学的試験によりアデノウイルス35型と同定した。中和反応には1986年に予研から分与された抗血清を使用した。中和のパターンは明瞭で,アデノの他の型との交叉反応はみられなかった。

なお,わが国におけるアデノウイルス35型の分離例は,青木・沢田(1984)の角結膜炎患者からの分離例がある程度で,きわめて少ないと思われる。



京都市衛生研究所





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