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県下における無菌性髄膜炎の発生は,例年,そして年間を通してみられる。そのピークは,1983年は8〜9月,1984年は7〜8月,1985年は7〜8月,1986年は8〜10月,1987年は9〜10月で,夏期を中心として発生し,その原因は一部ムンプスウイルス,ヘルペスウイルス等も認められるがその大部分はエンテロウイルスである。
しかし,本年の患者発生は,夏期に全県下でほぼ例年同規模の流行があり,それ以降,西香川地域では発生をみていないが,表のように東香川地域(高松を中心として)のみに患者発生がみられ,1989年1月でも,減少傾向にあるものの病院定点からの発生報告がみられている。
この流行をウイルス分離からみると,検体数,ウイルス分離数ともに患者発生と同傾向のパターンをとり,年間を通してみると,冬期ではCB3型,また夏期でもCB5型のウイルスがみられたが,7月以降エコー18型が連続的に分離され,12月では48株が同定された。
また,エコー18型の分離率を7月〜12月の検体材料別にみると,咽頭ぬぐい液106例中58株(54.7%),糞便19例中6株(31.5%),髄液167例中57株(34.1%)で,例数は少ないが,糞便での分離率が低く,咽頭ぬぐい液によるものが高い結果を得た。
ウイルス分離の方法は,HEL細胞とRD細胞を併用している。RD細胞では検体接種後2〜3日で典型的なCPEを生ずるが,HEL細胞では増殖するがCPEは明瞭でなかった。
また,分離からみる限り,夏期間と冬期間におけるウイルスの性状に差があるようには考えられない。
香川県衛生研究所 山西 重機,三木 一男,山本 忠雄
表
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