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本月報第10巻第1号(107号)で,千葉県茂原市とその周辺に限局して,出血を伴った結膜炎を主訴とした眼疾患患者からCA24型1例が分離できたことは既に報告した。その後同患者家族内からさらに2例,計3例の分離ができた。
また,茂原市に隣接した長柄町63歳男性からもCA24型が分離できた。その感染の終緯と主な臨床症状について報告する。
茂原地区での感染症サーベイランス眼科定点から得られた患者発生は図のごとくで,1988年6月頃から散発ではあるがAHC様患者がみられ,第38週(9月18日〜9月24日)に突然18名の患者が来院し,以後11月に入るまで多発していた。
既に報告した家族内感染は,分離のできた患者の兄(高校生,木更津市内へ通学)が,9月24日学友(目が充血していた由)からタオルで目をこすられ,9月26日発病,目の充血を訴えて来院したことから家族内感染が始まったと推定される。祖母,妹,弟(最初の分離例)からCA24型が分離できたが,高校生,両親からは分離できなかった。2日〜5日間で家族間に感染したが,父親が家族内で最後に発病している。
主な臨床症状は,結膜の充血,浮腫ならびに出血,疼痛,流涙,眼脂で,表でみるように,男女差はなく,また患者のほとんどは15歳以上の成人であった。
家族内感染のあった患家およびその周囲にはCA24型ウイルスによるAHC流行のあった香港や沖縄と特に関係はみられず,また,千葉県内でAHC様患者発生の報告が,他地区ではほとんどないことからみて,なぜ9月,10月を中心に,この地区のみに患者が多発したのか不明である。
千葉県衛生研究所 市村 博,酒井 利郎,春日 邦子,時枝 正吉,田中 寛
永吉の眼科医院(茂原市)千葉 弥幸
週別にみた眼科定点外来へ来院したAHC様患者(1988年)(茂原市・永吉の眼科病院 千葉弥幸)
眼科定点外来へ来院したAHC様患者(1988.5.29〜12.31)
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