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 地研技術協議会の中にできた溶血レンサ球菌レファレンス委員会ワーキンググループでは,M型別システムの確立を目指し,まず主要なM型の血清の作製に着手し,得た血清を試験した結果,昭和62年度までに作製した型血清中5種が実用に供し得ると判断した。63年度には実用的な条件,すなわち患者株を中心とした国内分離株を対象とし,T型別を併用する方式で血清品質のチェックを兼ねた精度管理試験を実施した。以下にその成績を報告する。
 1.M型別精度管理試験に供した5種のM型血清のうち3型,6型,18型の血清は充分実用に供し得るものと判断されたが,1型,12型の血清は安定した成績が出し難く,より改善すべきものと考える。他に4型と13型のM型血清作製も一定の見通しが出てきており,今後も血清の改善・充実に努めたい。
 
 2.各機関のM型別成績は3型,6型,18型に関してはよく一致しており,精度管理上の問題を認めなかった。1型,12型に関しても誤った型別例はなかったが,型別不能例が多く,その主な原因は前項に述べたごとく血清の品質が充分ではなかったためと考えられた。
 
 3.参考として実施したT型別に関しては,ほぼ完全な成績が得られたが,13型については標準株とやや性状が異なると思われる分離株が存在し9型血清とも反応したので,更に検討する予定である。
 
 4.以上,M型別において認めた問題は主に血清の整備で解決し得るものと思われ,他の材料・方法・技術などの面では大きな問題はないと考えられた。今回試験した5種のM型血清で患者株の約50%に対応し得ると考えるが,更に予定している4型と13型のM型血清が加われば約80%に対応すると見込まれる。
 
 なお,M型別の実施を希望する場合は,所属の支部センターにご相談ください。
 
 
 
 溶血レンサ球菌レファレンス委員会ワーキンググループ
 国立予防衛生研究所
 秋田県衛生科学研究所
 埼玉県衛生研究所
 神奈川県衛生研究所
 富山県衛生研究所
 大阪府立公衆衛生研究所
 山口県衛生公害研究センター
 大分県公害衛生センター
 (協力機関:デンカ生研株式会社)
 
 
 A群レンサ球菌の型別成績(延試験数に対する型別内容の百分率)
 
 
 
 
 
 
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