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Vol.10 (1989/10[116])

<国内情報>
1989年7〜8月山形県内で発生した食中毒事例


 県内に7月上旬〜8月下旬にわたり,サルモネラO9群(S.enteritidis)による集団食中毒が5件発生した。

 患者はいずれも,下痢,腹痛,発熱を主訴とし,症状は重症例が多かった。患者はすべて施設での給食および会食によるものであった。

 患者便から分離されたサルモネラは,生物学的性状,血清型(O9群1相gm2相なし)は5件とも同じであり,ある特定食品の汚染によるものであることが疑われるが,原因食品は究明されていない。

 この相次ぐサルモネラによる食中毒事件が漸く落ち着いたと思われた頃(8月23日),山形市内の某病院の検査室から電話があり,8月は例年になくサルモネラが多く検出されているが,他の病院の検出状況はどうかとの問い合わせを受けた。

 当研究所では,昭和60年8月から県内の病院17箇所から毎月病原微生物検出情報を収集し,還元すると同時にそれらをまとめ予研へ報告しているが,それら17施設に電話で問い合わせ,サルモネラの検出情報を入手した。

 その結果,8月に分離されたサルモネラは計70件で,そのうちO9群は54件であり(昭和63年8月〜平成元年7月までのO9群は10件),例年にない多数の検出状況であった。これは集団発生以外でも病院を受診している患者が多数あったことを示している。

 現在,原因究明を急ぐとともに食中毒防止のPRを行っている。



山形県衛生研究所 槙 十秋





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