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Vol.10 (1989/11[117])

<外国情報>
髄膜炎菌性髄膜炎−カナダ


 オンタリオ地方の髄膜炎菌性髄膜炎は例年冬から早春にかけて発生が見られる。1968〜88年の同地方での年間発生率は低いときで0.3(10万人当たり,1968年),高いときで1.99(1973年)であった。1983年以降発生率は増加傾向にあり,1987年,88年の年間発生率はともに1.4を示した。患者死亡率は1972年の25%から1983年の2%までに低下したが,1984〜88年は平均11.6%と再び増加した。同地方では1988年12月〜89年2月の3ヵ月間に85名の発生があり,うち11名(12.9%)が死亡した。年齢分布は新生児:16.5%,5歳以下の小児:34%で全例の79%が20歳以下であった。5〜20歳の発生率は45%で,同年齢の国内平均(20%)より高い。保健所の調査で該疾患の増加傾向はオンタリオ地方に限られていること,流行菌型は髄膜炎菌血清型B群であることが判明した。治療および予防薬としてリファンピシンが用いられた。また,流行地域のリスクグループに対してワクチン接種を行った。

(WHO,WER,64,35,1989)



 カナダ全土のサーベイランスの結果,1971〜87年の髄膜炎菌性髄膜炎の発生は,1970年代には年間患者数は平均301であったのが,1980〜87年は224で26%の減であった。しかし,1987年の報告では患者数299,発生率1.2/10万,特に新生児の罹患は一般の人の4倍,1〜4歳は2.5倍と高かった。患者死亡率は診断および治療の進歩で10%以下であった。

血液および髄液から分離された髄膜炎菌の血清型分布は,1971〜72年はA群,1973〜74年はC群,1975〜86年はB群がそれぞれ優勢であったが1986年以降,C群の検出が有意に高くなっている。1983〜87年の5年間に分離された628株中51.6%はB群,次いでC群25.8%,W-135が10.2%,A群4.8%であった。

(WHO,WER,64,38,1989)






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