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Vol.11 (1990/3[121])

<外国情報>
A型肝炎:検査室情報,1980〜1988−英国


 イングランド/ウェールズ/アイルランドの検査室からCDRに報告されるA型肝炎(HA)は黄疸症状の有無に関係なく,急性肝炎と診断され,かつHAIgMが陽性となった例である。この検査は1979年に導入された。

 年間報告数は1980年の1,323から82年には4,502に増加,その後1988年までは2,000〜3,000で,1988年に再び4,167に増加した。毎年男がやや多く(1.3倍程度),1/4〜1/3が子供で,乳児(35例)および老人(1.6%)は少ない。死亡例は27例,致死率(0.1%)は男女差はなく,加齢と共に上昇,55歳以下が0.02〜0.03%に対し,55〜64歳は0.9%,65歳以上は1.5%である。B型肝炎とは異なり,職業やライフスタイルなどとの関連はみられない。

 9年間合計25,541中2,016(7.6%)が2人以上の発生,うち2/3は家庭内感染。学校が38事例,病院,ホームが12,職場(主に軍隊)24等。特異な例としてコンゴチンパンジーの飼育係2名の例があった。発病前2ヵ月以内に外国へ行ったと答えた者は3,692(14.5%),HAの高浸淫地の割合が増加している。高浸淫地へ行ったと答えた子供806中76.6%はインド亜大陸だった。

 今までの報告は7年ごとの流行サイクルを示唆する。臨床家の届出の関心が低下しているので検査室情報の信頼性が高い。

(CDR,89/46,1989)









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