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Vol.11 (1990/7[125])

<国内情報>
気腫性胆嚢炎患者からのAeromonas sobriaの分離報告


 Aeromonasは日和見感染症,創傷感染症,急性胃腸炎の起因菌として知られているが,胆嚢穿刺液からの分離は稀な症例であり,当院でも初めての経験であったので,その概要を報告する。

 患者は72歳の男性で,3年前より胆嚢炎を指摘され,当院内科通院にて内服治療中であったが,1990年4月11日右季肋部の痛みが強くなり内科受診のうえ入院した。CT・超音波診断検査の結果,気腫性胆嚢炎と診断され4月13日経皮経肝胆嚢ドレナージを施行,約120mlの膿汁様排液を採取して細菌培養(好・嫌)を実施したところ,Aeromonas sobriaが大多数を占め,その他少数ながらE.coliKlebsiella spp.も分離された。以後,ISP,SBT/CPZの併用を4月22日まで実施した結果,全身状態改善となり,5月8日再度胆汁培養を実施したところE.coliのみを分離した。5月15日胆嚢摘出,経過良好なので5月末退院となり現在通院に至っている。

Aeromonas sobriaの培養・薬剤感受性試験成績を表1に示したが,その他の検査所見については,入院時(4/11)WBC11,400,CRP6.6mg/dl,肝機能検査は特に異常を認められず,ドレナージ施行後はWBC,CRPとも正常となっていった。

 なお,Aeromonas菌種鑑別はエスクリン分解,グルコース分解からのガス産生,VP反応,サリシン分解,β溶血の性状で判定した。



名古屋市立城北病院中央検査科 坂田 節夫,河合 英夫
外科 山下 年成


表1.分離A.sobriaの性状・薬剤感受性





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