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エイズ予防法施行後の女性HIV感染者(患者を含む)の状況
1.届出数の推移:外国人を含む女性のHIV感染者(患者を含む。以下同じ)の届出の推移をみると,本年1月から10月末日までに届出られた感染者数(24人)が既に前年(19人)を上回っており,増加傾向がみられるが,日本人のみについてみると増加傾向はみられず,この傾向は外国人感染者の増加によるものである(表1)。なお,異性間の性的接触による男性のHIV感染者についても,増加傾向にあり(特に2年単位でみた場合),日本人のみについても同じである(表2)。
2.性別構成:エイズ予防法施行(平成元年2月17日)後から平成2年10月末日までに届出られた日本人のHIV感染者110人中女性の感染者は25人で,全体の2割強を占めており,アメリカ合衆国においてHIV感染者に占める女性の割合が10.1%(推計値)で約1割であるのに対し,若干その割合が高くなっている(表3)。
3.年齢構成:日本人の女性HIV感染者の年齢構成をみると,年齢階級の広い範囲に渡って感染がみられるが,20代が48.0%と約半分を占めている。一方,日本人の男性HIV感染者についてみると,感染の分布は,女性と同傾向を示しているが,30代が37.6%,40代が25.9%と30代と40代で大半が占められており,女性の方が比較的若い世代に感染が集中している(表4)。
4.感染原因:外国人を含む女性のHIV感染者について感染原因をみると,異性間の性的接触によるものが68.3%と大半を占め,そのうち国内での感染によるものが35.7%,海外での感染によるものが50.0%となっており,海外での感染例の方が若干多い(表5,6)。
日本人女性についてみると,異性間の性的接触によるものが64.0%と大半を占め,女性感染者全体と同じ傾向を示しているが,感染地域については,国内感染が62.5%,国外感染が37.5%と国内感染の方が多く,また,日本人男性の異性間の性的接触によるものがほとんど海外での感染であるのに比べ,逆の傾向を示している(表5,6)。
また,本年に入り,これまで報告がなかった母子感染例が3例届出られている(表1)。
厚生省結核・感染症対策室
1.累積患者報告数
2.累積HIV感染者報告数
表1.女性HIV感染者(患者を含む)届出数の年次推移
表2.男性HIV感染者(患者を含む)届出数の年次推移
表3.性別にみた法施行後のHIV感染者数
表4.性・年齢階級別日本人HIV感染者数
表5.感染原因別HIV感染者数
表6.異性間性的接触によるHIV感染者数−性・感染地域別
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