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1990年1〜4月にフロリダで,病院のHIV病棟医療従事者8名にツベルクリン反応陽転が見られた。院内感染を疑い調査を行った結果,1988年1月〜1990年1月末までに29名の多剤耐性(RIF,INH)結核菌患者が確認された。このうち22名(76%)は1988年6月以降に診断された新規患者である。また,本菌による感染は他病棟の患者に比べHIV患者で高率であった。
院内感染に至った原因として,薬剤感受性試験の結果が出るまでに時間がかかり(菌分離から8週),適切な治療に遅れをきたしたこと,耐性菌だったため患者の保菌状態が長引いたこと,HIV病棟での抗酸菌分離に注意が欠けていたこと,HIV病棟の空調が不備であったこと等があげられている。本件は多剤耐性結核菌による院内感染の初めての事例である。
(CDC,MMWR,39,No.40,1990)
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