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Vol.12 (1991/5[135])

<外国情報>
ヒト狂犬病,1990−米国・テキサス


1990年6月,22歳男性が狂犬病で死亡。これは1980年以降米国で4例目である。患者は4月13日居酒屋で右指をコウモリに咬まれ,5月30日以降,右手の筋力低下に始まり症状が急速に進行,6月5日に死亡した。この間破傷風が疑われ,6月4日に上司からコウモリ咬傷の報告があり,初めてCSF,血清,皮膚剖検材料がCDCに送られたが,rabiesに対して全部陰性。死体剖検で脳組織がIFA陽性を示した。単クローン抗体試験でrabies変異株,Mexican free-tailed bat strainの感染が示唆された。67〜100人の接触者にrabies予防治療が実施された。米国ではコウモリのrabies感染は一般的である。上記ヒト4例中3例,および1980〜81年中にrabies予防投薬をうけた人の10%はコウモリに咬まれた例である。本報告例にみるように中枢神経感染の診断は難しい。暴露が疑われた場合はただちに傷口を石鹸と水で洗浄し,医療機関に相談することが肝要である。

(CDC,MMWR,40,No.8,132,1991)






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