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Vol.12 (1991/6[136])

<国内情報>
茨城県における集団赤痢(中間報告)


1991年2月14日に水戸市立幼稚園児(6歳)から赤痢菌が検出され,隔離された。次いで2月17日に同園児の父親(37歳・農協職員)から赤痢菌が検出され,隔離された。以後,3月4日までに51人の患者(疑似患者7人を含む)が発生した。3月16日に水戸保健所(H.C.)管内集団赤痢は終息宣言を行った。

しかし,同日,下館H.C.管内に新たな集団赤痢が発生した。3月14〜15日に養護施設入所者4〜5人が発熱,下痢を訴えた。病院で受診したうち1人に血便がみられたため,3月15日有症者5人の検便をH.C.で実施した。また,近くの幼稚園の1クラス25人中14人が風邪様疾患で欠席のため,学級閉鎖(3月15,16日)をしたが,主症状が腹痛,下痢であったので,3月15日園児8人,職員15人の計23人の検便をH.C.で実施した。

3月15日にH.C.に依頼のあった上記2施設の検便を3月17日に衛研で確認したところ,幼稚園教諭4人,同事務員1人,同園児3人,施設入所者2人の計10人から赤痢菌が検出され,大規模な集団赤痢へと発展した。

また,3月21日には,古河H.C.管内の施設から職員,入所者に有症者があり,患者の疑いがもたれるので,H.C.で検便を実施してほしいとの要望があった。実施したところ,職員1院,入所者1人から赤痢菌が検出された。

4月22日現在のデータでは,下館H.C.管内210人,古河H.C.管内24人の患者が発生した。

同じソンネ菌であり,1988年にもレストランを中心としたソンネ菌による集団赤痢が発生しているので,衛研ではただちにコリシン型別,薬剤耐性,糖分解能検査を実施した。その結果,コリシン型は,水戸,下館および古河の3H.C.管内の集団は12型であった。1988年の集団赤痢は0型であったから,これとの関連性はなかった。今回の3集団では薬剤耐性,糖分解能検査の結果も一致した。

いずれの場合も入所施設を中心として発生した点は類似しているが,それぞれの接点はなく,感染経路は解明されないままである。これほどの大規模な集団発生になった一因には,最近流行の「おなかにくる風邪」ということで軽視されたことがあるように思われる。



茨城県衛生研究所 村田輝善 根本治育 深谷節子 久保田かほる


患者の概要





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