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1.年次推移(表1および図1〜3)
(1)平成3年中に届け出られたHIV感染者(患者を含む。以下「HIV感染者」という。)は前年の97名から平成3年は238名と約2.5倍の届出があり,著しい増加傾向となっている。
(2)性別では,男性,女性ともに増加傾向にあるが,特に女性が前年の31人から平成3年は122人と大幅に増加している。
(3)国籍別では,日本人,外国人ともに増加傾向にあるが,外国人女性の届出が前年の18名から平成3年は105名と約5.8倍と激増となっている。
(4)感染原因別では,男性同性愛によるものは横ばい状態となっている。異性間性的接触は男女とも増加傾向がみられ,最近の主たる感染経路となり,HIV感染の新たな局面を迎えつつある状況となっている。
2.性別構成(表2略・表3参照)
「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」(エイズ予防法。以下「法」という。)施行後(平成元年2月17日〜)から平成3年末までに届け出られたHIV感染者414名中,男性は244名(58.9%),女性は170名(41.1%)であるが,日本人では209名中,男性165名(78.9%),女性44名(21.1%)であり,外国人では205名中,男性79名(38.5%),女性126名(61.5%)となっており,日本人に比べ外国人の方が女性の割合が高くなっている。
3.感染原因(表3)
法施行後に届け出られたHIV感染者は,異性間性的接触を感染原因とする事例が,男性同性愛のそれを上回っている。
男性においては,異性間性的接触が244名中81名(33.2%),男性同性愛101名(41.4%)であり,日本人の男性同性愛での感染の割合が若干高くなっている。
女性においては,異性間性的接触が170名中107名(62.9%)であり,その割合は日本人では72.7%,外国人では59.5%となっており,外国人の感染原因がその他・不明となっている事例が多くなっている。
4.年齢構成(表4)
法施行後に届け出られたHIV感染者の年齢構成をみると,広い範囲にわたり感染がみられるが,20歳代と30歳代で全体の67.6%を占めている。
性別でみると,男性のピークが30歳代で36.9%を占め,20歳代及び40歳代が各々23.8%及び27.9%を占めている。女性は20歳代で67.1%を占めており,特に,外国人女性の約7割が20歳代で占められており,女性の方がより若い世代に感染が集中している状況となっている。
5.感染地域(表5,6)
法施行後に届け出られたHIV感染者のうち,異性間性的接触によるものは,日本人については,男性は海外感染が国内感染を上回っており,女性は国内感染が多くなっている。男性についても最近の傾向として国内感染が増加している状況となっている。外国人については海外での感染が大多数を占めている。
男性同性愛によるものは,日本人については国内感染が約7割,海外感染が約3割となっており,外国人については異性間性的接触と同様,海外感染が大多数を占めている。
6.報告地域(表7)
これまで報告されたHIV感染者は66.7%が関東地方からの報告で占められてはいるものの,全国各地からの報告も増加しており,今後,全国的に拡大されていく状況となっている。
厚生省結核・感染症対策室
表1.HIV感染者(患者を含む)届出数の年次推移
図1.HIV感染者(患者を含む)届出数の年次推移
図2.HIV感染者(患者を含む)の年次推移 国籍・性別
図3.HIV感染者(患者を含む)の年次推移 感染原因別
表3.性・感染原因・国籍別にみたHIV感染者数(法施行後累計数)
表4.性・年齢階級別HIV感染者(法施行後累計数)
表5.感染地域別にみた異性間性的接触によるHIV感染者数(法施行後累計数)
表6.感染地域別にみた男性同性愛によるHIV感染者数(法施行後累計数)
表7.地域別における感染者(患者を含む)
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