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黄熱ベクターとなるAe. albopictusのアフリカでの繁殖を確認した最初の報告である。1991年4〜7月にナイジェリアDelta州で黄熱が流行した。9月に流行地区に蚊産卵カップを配置し,48時間後に回収してCDCに送付,成虫まで飼育した。調査した4地区中3地区でAe. albopictusが認められた。2地区のプールではAe. aegypti74%に対し,Ae. albopictus18%,他の1地区ではAe. albopictus64%,Ae. africanus36%だった。Ae. albopictusは環境への馴化性が高く,実験室的に黄熱のベクターとなることが確認されているので,都市型および森林型黄熱の伝播に関与するとみられる。最近,Ae. albopictusの幼虫が日本から古タイヤによってアフリカに導入され,また,以前東南アジアから古タイヤでブラジルに導入された例があるから,ナイジェリアでも古タイヤによる導入が考えられるが,調査はされていない。実験データによれば,Ae. albopictusは多種類のアルボウイルスのベクターとなりうるから,すでに米国南部でみられるように,これがAe. aegyptiにおきかわり,アルボウイルス伝播環をかえるかもしれない。アフリカでは特にデング熱と黄熱が問題である。アフリカの黄熱ウイルス株のナイジェリアAe. albopictusによる伝播について研究が進行中である。ナイジェリアおよびアフリカ大陸のこの蚊の分布を確認する必要がある。
(CDC,MMWR,40,48,836,1991)
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