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1)感染のはじまり:1991年のブタ感染の報告は沖縄で始まった。5月28日の時点で沖縄南部,6月18日の時点で沖縄北部のブタ感染が50%を越えた。一方,大分では調査の始まった6月15日にはすでに80%を越えていた。7月下旬には高知,福岡,長崎,熊本に感染が広まった。8月に入って九州では宮崎を除く九州全域,島根,山口,大阪,奈良,和歌山,山梨,静岡で感染が活発化し,8月末までに滋賀,香川,宮崎に広まった。
2)感染のひろがり:1991年のブタ感染は初期には例年に比べてやや活発な様相を示していたが,その後の活動はあまり活発ではなく,図1に見るように,日本脳炎の終期である10月までにと場で検査されたブタの50%以上が日本脳炎ウイルスの感染を受けた府県は30府県にとどまり,過去10年間で最も少なかった。東北以北は1県もこれに含まれず,関東では茨城,千葉の2県のみであった。
日本脳炎確認患者(表1)
1991年厚生省保健医療局疾病対策課結核・感染症対策室が収集した全国都道府県からの日本脳炎患者個人票を集計した結果,1991年の日本における日本脳炎確認患者総数は13名であった。これは過去10年間で最小の数である。このうち死亡は4名,致命率は30.8%,性比は男9:女4であった。県別では長崎が3名で1位となり,静岡が2名,その他の県はいずれも1名であった。地域的には九州が多く,7名(53.8%)であった。
患者の年齢階層別集計では,60歳以上の患者は8名(61.5%),40歳代2名,50歳代3名であった。転帰は死亡4名,後遺症6名(46.2%),全治2名(15.4%),その他1名で,死亡,後遺症あわせて10名,76.9%を占めた。予防接種歴については,未接種,不明,以前接種がそれぞれ3名,9名,1名であった。(平成3年度厚生省伝染病流行予測調査報告書抜粋)
厚生省伝染病流行予測事業感染源調査結果(ブタ感染状況)
Fig.1 Infection of swine with Japanese encephalitis virus in Japan in the summer, 1991
表1.1991年日本脳炎確認患者(日本脳炎患者個人票による)
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