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Vol.14 (1993/8[162])

<国内情報>
エコーウイルス11型の流行について−大分県


 1993年春から夏期の大分県内におけるエコーウイルス11型(E11)の流行状況についてその概要を報告する。

 E11は無菌性髄膜炎(AM)を中心とする疾患から7月末現在で48株分離同定されている(表)。また,感染症サーベイランス情報によるとAMの月別発生状況は表に示すとおりで,5月から6月にかけて増加傾向にある。この間,大分市内のサーベイランス検査定点において,5月に25検体,6月に66検体,7月末で47検体の咽頭ぬぐい液,髄液,うがい液,糞便など計138検体が患者130人から採取され,それらについてウイルス分離を行ってきた。患者の年齢層は0〜14歳で,平均年齢は6.2歳であった。

 ウイルス分離にはHeLa,BGM,Vero,RD−18Sの4種細胞を併用して行った。各検体からの分離率は咽頭ぬぐい液72%,髄液24.3%,糞便11%であった。

 分離ウイルスは7月末現在E11がAM患者から32株,ヘルパンギーナから6株,その他発熱,水痘,脳・脊髄炎等から10株の合計48株分離同定されている。E11はRD−18S細胞により接種後2〜3日でCPEを生じ,ほとんど1代目で分離できた。

 E11が分離されたAM患者32名の臨床症状は発熱,上気道炎,髄膜炎が主症状であった。

 1993年7月末現在,AMの検査依頼が増加しており,ウイルス検索中であるが,大部分がE11であり,今季のAMの主原因になると思われる。



大分県衛生環境研究センター
小野 哲郎,中田 高史,阿南 久美子,小河 正雄


エコーウイルス11型の分離状況(1993)





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