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Vol.14 (1993/8[162])

<国内情報>
熊本県におけるエコーウイルス7型の分離状況


 1993年初夏から無菌性髄膜炎(AM)の流行の兆しがみられる。1地域からエコーウイルス(E)7型が分離されているので現在までの状況を報告する。

 熊本県感染症サーベイランス情報に報告されているAMの患者数は4月7名,5月6名,6月10名と徐々に増加しているようにみえる。検査受付数も4月2,5月2,6月8,7月16検体と増加した。年齢は0歳(6カ月)から13歳であった。RD,HeLa,BGM細胞を用いてウイルス分離を試みたところ,8名からウイルスが分離された。5月に熊本市の5歳の患者からE5が分離されたが,糞便からであった。6月になって人吉市から搬入された3名からはE7が分離された。RD細胞で最もよく分離され,HeLa,BGM細胞の順であった。市販の抗E7血清で容易に中和できた。他の分離ウイルスについても同定中であるが,型の異なったウイルスの可能性がある。

 人吉市のサーベイランス観測医によると,AM患者が増加中で,臨床症状は髄膜刺激症状,中等度発熱,頭痛,嘔吐である。特に頭痛,嘔吐が強いことが特徴で,全体の経過は1週間くらいである。

 前回のE7によるAMの流行は1986年であるが,本県ではその時の流行をとらえていない。今後,流行に注意していく必要がある。



熊本県衛生公害研究所
西村 浩一,矢野 俊昭,甲木 和子,田中 明





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