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Vol.14 (1993/8[162])

<外国情報>
コレラ毒素産生性Vibrio cholerae O139菌株による輸入コレラ,1993−米国・カリフォルニア


 既知のVibrio cholerae血清型に該当しない菌によるコレラ様疾患の大流行が,最近南アジアで発生した。当該菌(O139)に起因した輸入コレラの米国における初めての事例が確認された。

 1993年2月5日,ロサンゼルス在住の48歳の婦人がインドのハイデラバードへ1週間旅行し,帰国後水様性下痢を呈した。下痢は2月4日にインドで始まり,帰国途中に激症になった。1日当たりの下痢は最高10回に及んだ。嘔吐はなく,血便や粘液便も認められず,発熱もなかった。トリメトプリム−サルファメトキサゾールが投薬され,輸液は行われなかったが,無事回復した。症状は約4日間続いたが,家族内での二次感染はみられなかった。

 臨床医はその症状からコレラを疑ったが,便からはコレラ毒素産生のV.cholerae,non O1が分離された。CDCの確認試験でこの菌株はV.cholerae O139と同定され,また,当該菌はトリメトプリム−サルファメトキサゾールに耐性であった。

 患者はハイデラバード以外の地区へは旅行していない。感染源は確定されなかったが,患者は1月30日に市場で購入し,調理したエビを摂食していた。また,2月3日にハイデラバードでビン詰していない水をグラスに半分飲んでいた。

(CDC,MMWR,42,No.26,501,1993)






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