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Vol.14 (1993/11[165])

<外国情報>
デング感染の実験室診断−シンガポール


 デング感染は,ウイルス分離,抗原検出,血清抗体検査によって診断される。

 ウイルス分離は,発症後3〜5日以内のウイルス血症期に血清,血漿,白血球成分から可能である。抗体上昇前の診断法としては有用であるが,汎用性がなく,結果が出るまでに1〜2週要するのが難点である。

 抗体検査はHI,IgM EIA,デングブロットの3種が広く用いられている。HIは標準法であるが,最低7日後に再採血が必要,型間で交差がある,二次感染の診断が困難という限界がある。IgM EIAを用いると発熱から5日後に単一血清のみで診断できるが,IgM抗体は2〜3カ月持続するため,非デング感染時に診断を誤らせることがある。デングブロットを用いれば4時間でIgG抗体を型共通に測定できるが,HIにして1,280倍という高抗体価でないと反応しないため,感染初期には使えない。上記いずれの抗体検査法も迅速診断には適当でない。

 抗原検査は急性期の早期診断を可能にするが,現行のIF,IP法は,血中のウイルスを検出するのには感度が不十分で,剖検組織材料に利用されている。新しい方法として,PCRを用いれば微量ウイルスDNAの検出と型の鑑別が可能になりつつある。

 ウイルス学的検査結果が得られない場合には,血小板減少(10万/mm3以下)およびヘマトクリット値の上昇(20%以上)が重要な臨床所見となる。

(Singapore ENB,19,No.7,37,1993)






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